ハンディキャップとは何か

以前に、筑波技術大学の学生から『会って話を聞きたい』とオファーをもらい、先生と共に来社された事が縁で、今度は私達が大学へ伺ってきました。

 

筑波技術大学は、視覚障碍者と聴覚障碍者の為の大学で国立大学法人として運営がされています。

この中に、建築やビジュアルなどのデザイン学科があります。

 

 

一つの部屋に入ったら、ホワイトボードにはこんなメモが。

 

 

カウントダウンされていく感じから、学生の緊張感が伝わってきます。

大学は視覚障碍者キャンパスと聴覚障碍者キャンパスと二つのキャンパスに分かれていて、私達は聴覚障碍者キャンパスに伺ってきました。

 

訪問して案内されて知ったのですが、聴覚障碍者の為に小さな工夫が沢山されているのです。

音が聞き取れないレベルの個人差はあるものの、聞こえない前提となると会話は手話となります。

手話での会話で大切な事はお互いが見える事です。

だから、結構ガラスが多用されていたり、そのガラスも床からガラスの所が多いのです。

更には、会話する時には必ず横に並んでお互いを視認しながら会話する必要がある事から、廊下には立ち止まれるスペースがあったり、災害時や授業のチャイム等、何か全体に情報を伝える為の手段として色のついたフラッシュランプや電光掲示板が用意されていたり。

『なるほどなあ』と言う工夫が沢山されていました。

 

でも、『なるほどなあ』と言う感覚と同時に私の中には『これで良いのかな』と言う感覚も出てきました。

大学生の聴覚障碍者は、聴覚以外は全く健常な人と変わりはありません。

むしろ、健常者よりも感覚が研ぎ澄まされている様な部分もある気がします。

だから、彼らが大学を卒業したら十分に一般社会で活躍出来る能力を持っているのです。

 

だとすると、一般社会で生きていく事になる訳ですが、一般社会には筑波技術大学の様な細やかな配慮はされていません。

どんなにユニバーサルデザインやバリアフリーデザインが謳われたとしても、世界中のすべてにおいて浸透して整備される事にはならないです。

すなわち、聴覚障碍者でも一般社会で活躍するには逆に一般社会にフィットする能力を鍛える事の方が大事なはずなのです。

 

でも大学の施設は、鍛えると言うよりは、むしろ努力しなくても過ごせる環境を作り上げてしまっていました。

 

障碍者に対して優しい社会である事は良い事です。

しかし、障碍者だって十分な能力がある人は沢山いるのだし、一般社会で活躍出来るならば、あえて気を遣い過ぎない方がイイような気がしました。

 

夕方に学部3年生の設計課題が『幼稚園』という事で、それの中間発表が行われるのでレビューに参加して欲しいと言われたので参加させて頂きました。

 

 

学生の案って、粗削りですが伸び伸びとしていて楽しいです。

緊張している様子は感じましたが、それぞれが一生懸命に考えてきたのが解ると、コチラもワクワクしました。

 

そして、この後に同行していた福祉研スタッフの中山から、担当しているプロジェクトのプレゼンを御礼に。

 

 

建築設計って、お客様から依頼を受けて、お客様の資金を使って建築を建てるという事。

そして、それにはとても大きな責任が伴うという事。

デザインに好き嫌いはあっても正解は無いという事。

正解がないデザインを、どうやって導いていくのかという事。

だからデザインには理由を付けるという事が大切であるという事。

などをお話しさせてもらいました。

 

担当の先生が手話で伝えてくれたのですが、皆一生懸命にメモを取ってくれていたのが嬉しかったです。

 

今度は彼らが来年にインターンに来たいそうなので、受入れをしたいと思います。

 

彼らを見ていると、障碍者と言う枠でくくるのが勿体ないと思うくらいに一人一人は個性があって、健常者には無い長所を持っていました。

それを見ていると『障害やハンディキャップって一体何なんだろう』と思いました。

だって私達が持っていない物を彼らが持っているのです。

だとしたら、彼らの社会に入れば私達がハンディキャップを持っている訳です。

例えば私は手話の会話を理解出来ないです。

でも彼らは声に出さなくても身振り手振りで会話が出来てしまうのです。

 

要するに『ハンディキャップ』なんて見方は大多数から見ているだけの事であって、多数派が主流であるなんて言う勘違いから派生した観念の様なのだと思います。

 

お互いが、お互いの能力を尊重して活かす事が出来る社会になれば、世界はもっとエキサイティングで素晴らしい物になる気がします。


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