仮想と現実を彷徨う園舎設計。

私達は数年前から設計ツールをCADからBIMへとドンドン移行を進めています。

 

BIMとは、以前にも書いたと思いますがBuilding Information Modelingの略です。

すなわち、従来のCADと言う作図ツールは二次元がベースでしたが、BIMは三次元化前提の上に、建築のあらゆる情報を図面の中に入力していきます。

 

分かりやすく言えば、空間や素材だけでなく、コンセントの位置や配管の位置、構造体の詳細までが一つの図面に立体化して認識出来る様になります。

 

これで、工事前にかなりの事前チェックが出来る様になったり、完成後には依頼主にデータとして渡せば、建物の詳細が立体化したデータとして認識できる訳です。

 

一方で私達だけが進化しても、実際に対応する工事業者側が追い付いていないのも現実です。

大手建設会社は対応出来る所が増えていますが、地方の建設会社等は完全にこうした事を意識していない所も多く、

顧客の財産価値を高めると言う意識の部分での差が出来ている様な気がしています。

 

実際、四年かけて、大分事務所内に浸透してきましたが、逆に四年もかかってるのかと言う思いもあります。

 

そして、ここ数日で更に進化しそうな雰囲気を見たのが、3Dデータの動画化です。

実はこの話、日本人スタッフは意外に疎かったのですが、外国人スタッフの大半は「そんなの簡単だよ」的なリアクションでした。

そして実際にトライアルしてみると、あっという間に完成です。

 

でもそれを見た時の感動のレベルは想像以上です。

 

所が感動している時に頭のどこかで別の思いが・・・・

 

「様々なツールが進化して創造力次第では、多様な建築を作れる様になり、それを伝えやすくなってきた」

「しかし、これは全て創造段階の話であり、学生の課題設計の延長ににも見える」

「建築としての経験値が無くても作るのは出来てしまう」

「実際の建築には、やはり経験値は必要」

「そして、様々な土地要件に巨大な構造物としての建築を作るには、相当の実行力や実現力が必要」

「この実現力と創造力は別次元の話であり、創造は一人で画面に向かって出来るかも知れないが、建築の実現力には様々な人の力を束ねながら一つの目標に推進する人間力も求められる」

「だから、こうしたツールに感動だけはしていられない」

 

なんて思ったのです。

依頼主や一般の方に対して分かりやすく伝える為のツールが増えていく事は大歓迎です。

しかし、一方で私達は建築設計の専門家集団として、実際に実行する力を身につけていかなくてはいけないと改めて思う機会になりました。

 

仮想と現実の間を彷徨いながら、設計は進んでいく時代ですが、最後には現実社会の中に人間の為のリアルな建築を作る使命を全うしていきたいと思います。

 

 


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