園舎設計と新国立競技場

新年の業務が開始して、いつも通り出張ラッシュが始まって気づいたらもう月末です。

 

一年前の事が先日の様に感じているのに、2020年の一か月が間もなく終わろうとしています。

いつから、こんなに時間が過ぎるのが早くなったのだろうと思ってしまいます。

 

年が明けてから様々なニュースが飛び交っていますが、新国立競技場の話は面白いですね。

超高額な予算が問題となり当初案が撤回されたのに、実際に建ってみると多くの人が『つまらない建築』とか『ザハ案の方が良かった』とか。

更には中国の北京にザハ事務所が巨大空港を担当した事を引き合いに出して『中国は実現するのに日本は実現できないのが情けない』とかまで。

 

いつのまにか、予算の事よりも建築デザインや文化の話に流れが変わっているのです。

 

デザインの話は、どこまで行っても好き嫌いの話です。

算数で1+1=2と言う正解はあります。

しかしデザインには正解はありません。

どんなに崇高な学者や建築家が言おうが、その人に取っての正解はあっても全員に対しての正解なんて無いのです。

 

偏った報道によって世論は流される事は良くある事ですが・・・

 

 

少し過去の事を振り返ります。

 

2012年にイギリスの建築家 故ザハ・ハディド氏がコンペにて最優秀に選定。

 

 

 

当時の入選案リストはコチラで見れますが、この頃は夢がありました。

 

ちなみに、優秀賞に選定された日本の設計事務所SANAAの案も夢がありました。

 

 

 

 

2015年にザハハディド案が撤回されて、再度コンペが行われて現在のチーム(大成建設、梓設計、隈研吾都市建築設計事務所)が選定。と言う経緯は多くの方が把握している事です。

 

ザハ案が撤回されるまでの時は、世論は圧倒的に予算の話に集中し、その流れで一気に案の撤回と再コンペに流れました。

そして、「短期間かつ制限予算の中での工事」と言う理由の下に超制限されたルールでのコンペ行われた訳です。

 

あまりにも、制限が厳しすぎてコンペに参加出来る会社は結局はスーパーゼネコン5社しかいないと言うのが既成事実の様でした。

 

そして応募者は、最優秀に選定された【大成建設、梓設計、隈研吾都市建築設計事務所】チームと、選定されなかった【竹中工務店、清水建設、大林組、伊東豊雄建築設計事務所】の二社だった訳です。

 

二社が出した提案書はコチラ

 

大成建設、梓設計、隈研吾都市建築設計事務所】チーム案

 

 

 

【竹中工務店、清水建設、大林組、伊東豊雄建築設計事務所】チーム案

 

 

当然、この頃は予算が圧倒的な世論の流れでしたから、提案書はかなり現実的で夢が少なくなってきています。

しかも鳥瞰パース見ると、二案とも似ています。

 

 

で、結局私が言いたいのは、どんな事でも見る視点によって意見は変わると言う事です。

今の新国立競技場は、予算と工期と言う視点で見れば合格点のはずです。

 

私達が把握しきれない位の諸事情の中で、そしたて当時の混沌とした時期に、あれだけの短期間にあれだけの提案書をまとめた事はスゴイ事です。

そして工事も半年以上前に完成をさせました。

 

様々な意見がある事は良い事だと思いますし、それが自由に発言出来るのが日本の良い所です。

その上で、大切な事は出来上がった物をどう活かすかだと思いますから、本当の評価がされるのはこれからなのです。

 

 

さて、ここからこの話を園舎設計に置き換えます。

 

私達が園舎設計をする時には必ず強いコンセプトを立てます。

デザインには好き嫌いがあるので、議論をすると権限を持った人の意見が強くなります。

しかし権限を持った人の意見が正しいかどうかなんて誰も分かりません。

 

そんな時に正誤の判断をしやすくするには一つの指標が必要です。

それがコンセプトです。

方向性と言うか、目指すべき事をオーナーと設計者で共有する事で、一つずつの事柄が判断しやすくなり、成功への道筋になるからです。

 

予算とかはコンセプトを決めてからコンセプトに沿って決めれば良いのです。

 

こうして、設計を進めていく訳ですが、それでも完成した園舎の評価は様々です。

 

特に海外案件になると現場監理段階で勝手に変更されてしまう事がある為に、設計時のイメージから逸脱してしまう事があります。

そんな時に嘆いても仕方ないので私達は思考を変える様にします。

 

『これは既存建築だ。ここから私達がリフォームをする様に再度修正提案をしていけば良い。』

 

と思う様にします。

そうすると、様々なポジティヴな案が生まれてきます。

 

すなわち、新国立競技場の時に書いた様に、視点によって物の見方を変えられると言う事なのです。

 

だって、建築設計やインテリア設計の可能性は無限大なのですから。

出来ないと言う事は限りなく無いに近いのですから。

 

結局は設計者の思考によって、その環境を左右するだけの事であり、思考が全てなのです。

そして私達は常にこの思考を磨く事に集中をしているのです。

 

 


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